車を長距離運転した後に感じる疲労感は、長時間同じ姿勢でいること、周囲に対する集中力、社内で騒音に晒され続ける。この3つの要素によって生まれます。
姿勢や集中力は自分の意識にあり、分かりやすいですが音の問題は気づきづらい方が多いです。
今回は、NVHの一つ車内の騒音について解説と解決方法を紹介します。
ロードノイズはNVHの一種
自動車業界では、NVHといった単語を使用しており車の居住性や快適性について注目する際に使用されています。
NVH
NVHは「Noise(騒音)」、「Vibration(振動)」、「Harshness(硬さ)」の略で、車両や道路状況から発生する不快な音や振動、硬さを指します。
Noise(騒音)
騒音はマフラーなどから出る車外へ向けた騒音ではなく、エンジン音や風切り音、ロードノイズなどから発生する車の中で聞こえる騒音のことを言います。車の中では60db前後の騒音では静かな一般車として評価され、75dbを超えるとうるさい車として評価されます。
Vibration(振動)
振動は、動いているエンジンや走行中の荒れた路面などから伝わる細かい振動のことを指します。
座面以外にもハンドルやペダル、シフトレバーなどから感じ取ることがあります。
Harshness(硬さ)
硬さによる不快感とは、主に車の足回りの硬さを指します。ホイールの裏にあるバネや板の調整によって、道路や橋の継ぎ目などの段差で強い突き上げを感じることがあります。これは、スポーツカーやSUVなどで感じやすいです。
ロードノイズ
ロードノイズは、NVHの中のNoise(騒音)の一種です。タイヤが路面と接触や、走行時に飛んだ小石などがホイールハウスにぶつかる振動から発生し、他の騒音(エンジン音や風切り音など)と相まって車内の騒音が大きくなる場合があります。
車内騒音が発生する原因は?
車には単純な風切り音や路面状況以外にも、さまざまな理由によって車内に
エンジンの振動
エンジンは、ホイールを回転する力を生み出すためにピストル運動(上下運動)を行い空気を圧縮し、爆発を起こしています。
この時に発生する振動や爆発音が室内に伝わることで、騒音を生み出します。
トランスミッション
トランスミッション(変速機)はエンジンで発生した回転を効率よくホイールへ伝えるための装置です。オイルコーティングを行い摩擦による劣化を低減していますが、経年や摩耗で劣化してくることで、パーツ同士の嚙み合わせが悪くなり異音を発生する場合があります。
サスペンション
車が段差を通過する際に起こる振動を受ける、バネの様な部分です。
サスペンションで不快な思いをする要因は、販売された車自体の設定が要因の可能性が高いです。
スポーツカーなどの速さを求める車や、SUVなどの背の高い車は足回りを固く設定し、カーブでの車体安定性を向上させていますが、バネが硬い分振動が直接的に座面へ届きます。
タイヤの種類
ロードノイズの主要因となる、タイヤの種類。
ここでは、アルミや鉄のホイールの周りにあるゴムのことを指しています。
タイヤは道路と直接触れるため、舗装の荒れや凹凸などの地面の表情に対する緩衝材としての役割を持っているため、タイヤの厚さによって凹凸のノイズを抑えきれないことがあります。
最近はSUVの流行もあり、大口径ホイールに低扁平率タイヤ(薄く横幅が広いスポーツタイヤ)の流行もあり、乗り心地よりもスポーツ性の高いタイヤが多いです。
風切り音
車速が高速域に向かうほど、正面からぶつかる風力が強くなり車自体(本体やサイドミラーなどの突起物)から生まれた気流の乱れにより発生した音が、車の隙間から聞こえてくるものです。
NVHの対策方法
NVHの対策方法はデッドニングと呼ばれる方法が一般的です。
他には、タイヤの種類の変更や購入時のオプションの変更などがあります。
デッドニングとは
デッドニングとは、自動車などの車両内部で発生する不要な振動や騒音を低減するために施される防音・防振処理のことを指します。主に自動車の内装やボディに特殊な材料を使用して、騒音の原因となる振動を吸収・減衰させることを目的としています。
デッドニングの施行箇所と効果一覧
エンジンフード | エンジンによる振動と騒音を軽減します。 |
ホイールハウス | ロードノイズによる振動と騒音を軽減します。ロードノイズ対策では最も効果的です。 |
ドア内部 | 騒音の軽減と車内密度の向上や振動低減によるスピーカーの音質向上効果があります。 |
フロアー・ルーフ | 車内での騒音の共振を低減、スピーカーの音質向上をさせます。 |
ラゲッジスペース (トランク) | ラゲッジスペース内での共振を低減、ハッチバックタイプで特に効果があります。 |
デッドニングをDIYするのに必要もの
制振材
車が受ける振動を逃がすためのシートです。Lexusなどの高級車には予め施工されていますが、気になる騒音に合わせた追加施工も選択肢になります。
吸音材
制振材の施工後に吸音材を貼ることによって、車内でのスピーカーなどの音質向上効果を得ることができます。断熱効果のあるシートでは、夏や冬などの外気温度の影響を軽減することが可能です。
タイヤの変更
ロードノイズ対策として次に考えられるのは、タイヤの変更です。
コンフォートタイヤと呼ばれる、走行中の快適性に重点を置いたタイヤにすることでロードノイズを軽減することがあります。
ロードノイズの原因:①トレッド
タイヤのトレッドは、タイヤの表面にある溝や模様のことを指します。トレッドはタイヤが路面と接触する部分であり、騒音の発生に直接影響を与えます。
静粛性の高いタイヤは、通常、より複雑なトレッドパターンを持ち、ロードノイズを低減させることができます。
ロードノイズの原因:②ビート
ビートはタイヤの内側にある部分で、リム(ホイール)に取り付けられる部分です。ビートが適切に設計・製造されているかどうかは、タイヤがリムにしっかりと固定され、バランスが取れるかどうかに影響を与えます。不均衡なビートは、タイヤの回転時に振動を引き起こし、ロードノイズの原因となることがあります。
定期的なメンテナンスをしよう
NVHの発生要因に一つにはパーツの劣化があります。
ゴムや樹脂パーツの劣化によって車の密度が低下し、風切り音等が大きくなります。
一度施工して終わりではなく、定期的なメンテナンスにより快適性を高く保つことが可能です。
ディーラーでのメンテナンスはどうしても期間が空いてしまうので、自車への理解の向上も含めて
メンテナンスできるといいですね。
ただし、深い知識の必要な部分もあるので、業者に任せてしまっても良いですね。
まとめ
今回はNVHの解説と対策方法について紹介しました。
車内の騒音には様々な種類があり、適切な対策方法が異なります。
正しい対策によって得られる効果は大きく、ドライブの疲労感を大きく軽減させます。
デッドニングやタイヤ交換、日頃のメンテナンスによって快適なドライブライフを楽しみましょう。
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